看護師サバイバル日記

元・万年主任が看護師の自己啓発、スキルアップそしてサバイバルについてホンネで語ることを目的にしたブログです

当たり前のことが当たり前にできないと。。。

こんにちは! 医療カイゼン委員会です。

 

前回は

「当たり前のことを当たり前にする」

ことの大切さについて書きました。

 

当たり前のことを当たり前にする - 医療カイゼン委員会

 

 

今回は

当たり前のことが

当たり前にできないとどうなるのか

書いていきますね。

 

先日、救急外来でこんなことがありました。

(実話を元に患者さんの設定を一部変更しています)

 

高熱で6ヶ月の乳児が受診しました。

脱水も強く、ぐったり元気がありません。

乳児のこういう症状って結構重症です。

小児科の夜間当番ドクターをコール。

 

患児の状態悪化を防ぐために、

速やかに採血とルート確保が必要だと

小児科ドクターから指示が出ました。

 

小児科ドクターもルート確保にトライしつつ、

研修医とナースにも採血をトライするように、

その場の医師とナースが一丸となって

一刻もはやく処置することを求められました。

 

同時に

救急車が入って救急外来初療室はバタバタ。

 

そこで小児科病棟(単科病棟)から

一人、応援ナースを呼びました。

やってきたのが5年目の中堅ナース。

 

さて、

その小児科病棟から呼ばれた応援ナースさん。

専門性を発揮してもらう目的でコールしたのです)

 

明らかに採血自信なさそうな表情をしていました。

っていうか、逃げ腰。

「わたし(患児の体を)おさえてます」と

採血を行おうとする姿勢がみられません。。。

 

『いえいえ、ホントはあなたに、

採血をしてもらいたくて期待して呼んだのに。。。』

先輩ナース(わたし)はそう思っていたので、

患児の体をおさえるのは

1年目の新人ナースに任せました。

 

研修医も採血にトライしていましたが、

手がムチムチで血管が見当たらず数回挿入しても入らず。。。

 

わたしも小児科病棟に2年間

勤務経験がありましたので、

採血にトライすることと

なりました。

 

5分後(わたし)

「よし!やったぁ!」

(心の中でガッツポーズで!!)

正中部位でなんとか6ml採血できました。

(ルート確保には至りませんでしたが。。。)

 

止血していたわたしは、

小児科病棟からの応援ナースに

採血をしたシリンジを渡して、

採血スピッツ

速やかに検体を分けてもらうよう頼みました。

 

わたしは、

検査科に検体の提出依頼への連絡、

病棟へ入院の連絡をしていると、

その5年目ナースがおずおず戻って一言ポツリ。。。

「採血足りません。。。」

(青ざめた表情と弱々しい声で。。。)

 

そこにいた皆が一斉に

「えーっ!!!」っと驚いて

声を出してしまいました。

 

小児科用のスピッツへの配分って、特殊です。

スピッツに応じて

ちゃんと計算して分けて入れなければなりません。

今回の場合、血算・生化学・凝固系に加え、

血液培養まで指示が出ていました。

凝固系は正確に2ml必要ですが、

血算・生化学は規定量なくても、

少量で検査することは可能なのです。

しかも、

スピッツ真空管であることを知らないと

6mlを必要に応じて分けることができません。

 

さらに、

血液培養のスピッツ

陰圧に引かれて全部入ってしまいます。

応援にきた5年目ナースは

それが分かっていなかったみたい。

 

これをしてしまったのが、

1年目のナースであったなら

知らなくてできなくても仕方ない。

先輩ナース(わたし)が目配りして、

確認すべきことだったと思います。

 

しかし、

5年目の中堅ナースですよ。

それも小児科病棟に応援要請して

やってきたわけです。

 

これは『イタイ...』

本当に『イタイ...』、って思っていたら、

わたしが言う前に小児科ドクターが

怒ってしまいました。

 

小児科病棟に勤務していれば

採血は日々の業務で必ずしているはずです。

 

それを任されることなく

今日まで来てしまったのか。

あるいは自信がないために

自ら覚えようとせずに

ここまで来てしまったのか。

 

いずれにせよ

5年のキャリアを通じて、彼女は

いったい何を身につけたのでしょうか?

 

今回の小児科病棟の応援ナースは

残念なナースでした。

 

だって、

5年間小児科病棟にいたら

採血スピッツ

どんなものか分かっていて

当たり前ですよね。

だってそうでしょ!

 

(ちなみに小児科ドクターがルート確保した際に

 不足分の採血を確保でき無事に検査できました)

 

例えば、

イタリアンレストランに

3年務めてました!というシェフ。

でも、そのシェフが

パスタの種類がよくわかりません、

って言ったらどう思いますか?

そのシェフの料理は果たして美味しいでしょうか?

あなたはその料理を食べたいですか?

 

例えば、

あなたが循環器病棟やCCUにいたら、

ECGくらいサッサと使えないと。

それだけでなく、

ECGの所見くらいある程度読めるはず、

と期待されます。

 

呼吸器病棟やICUに勤務していたら

気管内挿管の介助や

人工呼吸器の設定の知識は

わかっているはず、って

周囲は思います。

 

苦手とか、嫌いとか言ってられません。

 

将来、転職すると想定してみましょう。

履歴書に

循環器病棟やICUに勤務していたって

自信を持って書けるでしょうか?

 

今配属された部署の仕事を

しっかりやれば

それだけでキャリアが身に付きます。

そして、自分に自信が持てるようになります。

 

入職してまだ半年。

まだ間に合います。

 

とにかく、

今の部署の仕事を

一通り、一人でできるようになる

それを目標に

頑張ってください。

 

救急外来から

応援要請されて、

自信をもって手伝いに行ける

3年後のあなたの姿を。

想像してみてください。

 

あるいは

『あー』、呼ばれちゃった。

自信ないな、とイヤイヤ

救急外来に向かう姿を

想像してみてください。

 

どちらの自分になりたいですか?

 

一方、わたしの対応としては

やはり、応援にきたナースの知識と技術が

どれだけできるかどうか確認する必要がありました。

できなかった場合を想定し危険を回避して、

応援ナース、新人ナースを采配すれば

なお良かったかな。。。と思います。

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