医療安全対策 = 院内感染予防対策! (クロストリジウム・ディフィシル編)
こんにちは! 医療カイゼン委員会です。
私たちナースは安全な医療を提供する使命があります。
安全な看護を提供するにあたって
「院内感染予防対策」は重要なポイントです。
今回は「院内感染予防対策」をいかに実行するか!!
に焦点を当てて考えていきたいと思います。
先日、内科病棟でこんなことがありました。
(実話を元に患者さん、病棟の設定を一部変更しています)
クロストリジウム・ディフィシル(以下CD)感染による下痢が
アウトブレイクしていました。
(アウトブレイクについては次回エントリで)
CD感染の下痢が6件発生していたのです。
これって、まさに院内感染を引き起こし、
患者さんから医療従事者へ、
医療従事者から患者さんへと
感染を拡大させ、安全な医療が提供できていないことになりますよね。
すなわち、
医療安全対策 = 院内感染予防対策
といっても過言ではないでしょう。
さて、ここからです。
その日の夕方、
本日の内視鏡検査の最後は
大腸内視鏡検査の患者Aさんです。
内視鏡室のナースは、
前日と入室前の2回、電子カルテで
患者Aさんの情報を情報収集します。
CD抗原に関する検査結果は電子カルテには
記載されていませんでした。
一方、その日の午後12時30分に
検査科から病棟看護主任、主治医、
そして感染認定看護師へ
CD抗原陽性との結果が報告されていたのです。
患者Aさんが内視鏡室入室時、
病棟の担当ナースからの申し送りでは、
CD抗原陽性の情報はなく、
検査はそのまま通常通り施行され
無事に終了し、帰室されました。
(もちろん主治医からの報告もなかったのでそこも問題ですが!)
予定検査が全て終了した後、
感染認定看護師から内視鏡室に連絡。
「内視鏡の高水準消毒(芽胞レベル)はできていますか?」
「???」
そこでビックリです。
CD抗原陽性!!!
聞いてませんけど <(`^´)>
で、そこから
院内感染予防対策マニュアルに沿って
感染認定看護師と二人で
時間外に
使用したスコープ、
及び保管棚のすべてのスコープを
芽胞レベルまで死滅させる高水準消毒。
また、接触予防策として
患者さんが触れた可能性のある場所をすべて
次亜塩素酸ナトリウム(商品名:テキサント)で
環境整備しました。
カーテン交換から清掃まで
二人で黙々と、
です。
今回は運良く
内視鏡検査室でのその日の最後の検査だったため、
他の患者さんへ感染を広げることはありませんでした。
もし、内視鏡室に連絡がなければ、
もし、その日の最後の検査ではなく、
その後に他の患者さんの検査が入っていたならば
感染を蔓延させてしまうリスクもありました。
内視鏡室は入院患者さんだけでなく、
外来患者さんも検査を受けるため
被害が更に拡大してしまったリスク大です!
まさに
院内感染の発生源にもなり得るのです。
そもそも
なぜ病棟ナースが重要な情報を知っていたにも関わらず、
内視鏡看護師へ申し送りをしなかったのでしょうか?
病棟ナースが、
CD感染=危険
という認識が薄かったのではないでしょうか?
CDはアルコール消毒が無効と言われており、
いくら手指衛生をしても無効なので、
接触予防策こそが全てです。
なかでも、
医療従事者の手洗いが重要で、
流水と石鹸の15秒以上の手洗いが必要です。
だからこそ
CD抗原陽性の情報は
必ず申し送り、連絡しなければならないのです。
病棟ではCD感染が検出された場合、
原則、個室管理となります。
病棟ナースは病棟内では感染隔離しているのに、
なぜ、病棟から患者さんが離れてしまうと
「 感染 = 危険 」
の認識がなくなってしまうのでしょうか?
そのリスクを理解していれば、
内視鏡看護師に申し送りが
できたのではないでしょうか?
毎日患者さんの安全面を考えながら
看護実践していれば、
このようなことにはならなかったでしょう。
更に考えると、リスク感性があれば
病棟内でアウトブレイクを
防ぐことができたかもしれません。
繰り返しますが、
私たちナースの使命は
安全な医療を提供することです。
しかし、
一つ間違えると患者さんたちへ
病原体を暴露させてしまうリスクがあることを
常に認識して看護実践しなければなりません。
さらに大きく考えると、
一人のナースが
感染対策を実践したとしても
医療従事者全員がリスクを認識して
行動しなければ
意味がなくなってしまうのです。
それ以後
大腸内視鏡の洗浄は
すべての症例において
芽胞レベルまで死滅させる
洗浄工程を標準化しました。
VREでなくてよかった。。。